「よみがえる」子供たち!
見た目では、なんともふてくされた態度の中3になる女の子が、
お母さんといっしょに塾に訪問されました。
「このままでは、学校の成績は最低ですし、
いける高校がありません。せめて、高校だけは出て欲しいのですが。」
お母さんは、危機意識をもってたずねてこられたようです。
子どもを育てる場は家庭です!
子どもの学習能力の向上や勉強の成果は、
指導方法や勉強テクニックではなんともならないのです。
それは、子どもの“やる気”に負うところが大きいからです。
塾でも学校でも、
宿題をやってこなかったり、授業中に居眠りする子を、
どれだけ叱っても、効果はほとんどありません。
“やる気”というのは、子ども自身の心の問題ですから、
叱っても、なだめても、罰を与えても、
外的要因では解決できないことがほとんどです。
この“やる気”は、指導技術によって子どもに植え付けることは
できないのです。
実は、成績の良い子どもの親子の間の言動には、
共通したパターンがあるように思われます。
また、成績の悪い子どもの親子の間の言動にも、
共通性があるように思われます。
何気ない親の仕草や言葉遣いが、
子どもの“やる気”を育てたり、失わせたりしているのです。
つまり、“やる気”のない子どもの問題は、
家庭生活に原因があると言えるのです。
“生活力”を身につけて“やる気”を引き出す!
「人と協力する力」・「いろいろなことに挑戦しようとする力」・「好奇心」
「研究心」・「笑いのある場をつくる力」・「何気ないことをきちんとできる力」
こういったことを『生活力』と呼ぶことにします。
例えば、こんなチェック(抜粋)をしてみると分かります。
①家庭生活では
お手伝いをする・しない
叱られることが多い・少ない
家族と楽しむ時間が多い・少ない
テレビを自由に見る・時間を限る
朝、起こしてもらう・自分で起きる
②家庭学習では
勉強机が散らかっている・整頓されている
地図・年表などが部屋にある・ない
目標が掲げてある・ない
机の周りに勉強と関係ないものが多い・少ない
③全般として
人に意地悪をする・親切である
読む・書くがいやだ・楽しい
時間を守れない・守る
体を動かすのが嫌い・好き
これの考え方は、
体を動かすのが嫌い 1 2 3 体を動かすのが好き
と並べて、1・2・3を丸をつけて選びます。
1の項目の数、2の項目の数、3の項目の数を集計して
1の項目が多いと「生活力が低い」と判断できます。
これらの項目をもう一度見てください。
親の何気ない行動を子どもが見ていて、
「あぁ、そんなんでいいんや!」と自然に身につけていったものばかりです。
項目は抜粋なので、今回には入っていませんが、
トイレットペーパーを使った後が、だら~と下がっている
靴のうしろを踏むことが多い
勉強の姿勢が悪い(足を投げ出して座る)
など、様々なところに生活力の低さが現れます。
約束事を決めて、これらを改善することで、
子どもは、いろいろ気づいていきます。
次第に、生活力が改善されていくと、
勉強にも意識が向いていくようになります。
生活力が改善されていくと、
褒めてあげることがたくさんでてきますね。
そこで、いっぱい褒めてあげます。
そうすると、子どもは、いろいろなことに“やる気”を見せるようになります。
勉強にも関心を持つようになります。
子どもだけが悪いのではない!
よく、学習相談に来られる親のほとんどが、
「うちの子は、なんでこんなんなのでしょう?」
と言いますが、
その原因の多くは、「親の気づかない言動にある」ということが
分かっていただけると思います。
だから、一方的に叱っても、何の解決にもなりません。
親子でいっしょに、「生活力」を取りもどしていくことで、
子どもの“やる気”を引き出してあげられるし、
親がわが身を振り返る機会にもなります。
「子どもだけが悪いのではありません。」
このことを、しっかり受け止めれば、きっと解決できます。